2007年度(第14回)HODIC鈴木・岡田賞


HODIC鈴木・岡田賞選考委員会報告

選考委員長 岸本 康         

 ホログラフィック・ディスプレイ研究会(HODIC)では、2008年1月17日並びに2008年4月1日に選考委員会を開催し、
慎重に議論した結果、貢献賞1件、技術賞2件、芸術部門奨励賞1件が選考されました。

   


■ 貢献賞 本田捷夫氏 (本田光技研

授賞理由: 長年のホログラフィに関する研究を続けられ、特に電子ホログラフィを中心としたTAO高度三次元
動画像遠隔表示プロジェクトなど国内のホログラフィ研究に関するプロジェクトの牽引などへ貢献をされ、
ホログラフィック・ディスプレイの分野で多大な貢献をされた。

 

■ 技術部門 「実写入力電子ホログラフィ開発グループ」
  三科智之氏(代表)、大井隆太朗氏、 奥井誠人氏 (独立行政法人 情報通信研究機構
  洗井 淳氏、 川井博史氏、 岡野文男氏 (日本放送協会 放送技術研究所

対象論文: 「インテグラル・フォトグラフィ-ホログラム変換による実写入力電子ホログラフィの検討」
 Electronic holography for real object using hologram calculated from integral photography
 (3D画像コンファレンス2007)

授賞理由: 電子ホログラフィーの入力として、IP画像からホログラムの計算を行うことで、実写入力による動画での
電子ホログラフィー再生を実現し、これまでに電子ホログラフィーに関する研究成果を数多く発表している。
今後の発展も大いに期待されることから技術部門の授賞に値する。

 

■ 技術部門 山口健氏 (日本大学理工学部吉川研究室

対象論文: 「ホログラフィックテレビジョンの視域拡大に関する一検討」
   A Study to Increase The Viewing angle for Holographic Television.
  (平成19年度第2回HODIC研究会)
 「計算機合成円筒レインボウホログラム」
   Computer-Generated Cylindrical Rainbow Hologram
  (3D画像コンファレンス2007)
 「補正PASによる計算機合成ホログラムの高画質化と高速生成」
   High-Quality and Fast Generation of Computer Generated Hologram by Compensated Phase-Added Stereogram
  (3D画像コンファレンス2007)

授賞理由: ディスプレイ用計算機合成ホログラムに関する一連の研究を積極的に行い、将来の実用化を期待させる
大きな成果を上げている。HODICでの今後の活躍も大いに期待されることから技術部門の授賞に値する。

 

■ 芸術部門 奨励賞
 黄雅玲 Ya-Ling Huang 、簡正宇 Cheng-Yu Chien
 (崑山科技大學 Kun Shan UniversityHologram 3D Image Laboratory

対象作品・発表: 
 「 Digital Child 」(第14回大学ホログラフィー展

授賞理由: 積極的にホログラムアート作品を制作し、台湾におけるホログラムアートの先駆けとして将来性が認められる。
今後、HODICと台湾との交流が活発になることが期待される。

Digital Child  「 Digital Child 」




受賞者のプロフィール
本田 捷夫(ほんだ としお)

(本田光技研)
抱負
鈴木正根氏とは、富士写真光機(現:フジノン(株))に在籍した頃に、凸版印刷(株)、東工大・辻内研と共同研究として、
マルチプレックス・ホログラム露光装置の開発をおこなった。また岡田勝行先生とは、東工大の博士論文テーマとして、マルチ
プレックス・ホログラム像の3次元歪みの研究を進め、また千葉大では、同じ研究室の助教授として、共に研究室を運営した。
私はこの(2008年)3月に千葉大学を定年退職し、現在「本田光技研」という個人事業をスタートさせる準備をしています。
最近は HODIC の会合にはあまり出席せず、貢献をしていないのに、このような賞を頂けることになり、大変恐縮しています。
ホログラフィー法を含めて、自然に見える立体映像システムの実用化を目指しています。
略歴
1968年,東京工業大学・理工学研究科 修士修了、同年 東京工業大学・工学部 助手
1981年,東京工業大学 工学部 助教授
1993年,千葉大学 工学部 教授
2007年,千葉大学 融合科学研究科 教授
2008年,千葉大学 定年退職 現在に至る
研究業績
・最近の調査委員会などの役
1997−2002: 通信放送機構 「立体テレビ関連研究開発」プロジェクト・リーダー
2003−2007.4:「立体映像産業推進協議会」会長
2004年度:日本オプトメカトロニクス協会による「立体映像表示に関する調査研究」委員長
2005 年度:デジタルコンテンツ協会による「3Dコンテンツの調査研究」委員長
2006年度:光産業技術振興協会による「立体画像ディスプレイフィージビリティ調査」委員長
2006.4−2008.3:映像情報メディア学会「立体映像技術研究委員会」委員長
・ホログラフィー関連論文・記事など
1.Real-Time View-Interpolation System for Super Multi-View 3D Display、IEICE、2003
2.大画面立体ディスプレイ用ハイブリッド・ホログラム・スクリーンの開発、レーザー研究、vol.30,No.12(2002)
3.立体像の歪み補正―ホログラムスクリーンを用いる2眼立体像表示の場合―、画像ラボ、2003
4.超多眼立体表示に対応した瞳孔位置検出装置、画像ラボ、2002
5.3次元ディスプレイ技術総説、本田捷夫:、レーザー研究、30, No.12,p.702 ? 707 (2002)
6.Influence of the Molecular Weight Distribution of Gelatin on the Image Quality of Dichromated Gelatin Phase Holograms、J.Soc.Sci.Technol.Japan,2002
7.Natural 3-D display system by a Fan-like Array of Projection Optics;,SPIE( vol.4864 3-Dimensional TV, Video and Display,)、2003
8.視点追従型超狭視差ピッチ立体ディスプレイシステムの開発、3次元画像コンファレンス2002論文集、2002
9.オートステレオスコピック・ディスプレイ用大型ハイブリッドホログラムスクリーン作成と視域の評価、電子情報通信学会技術研究報告、2002
10.Development of 40 inch hybrid hologram screen for auto-stereoscopic video display、Proc. of SPIE, vol.5290, 2004
11.立体像表示のためのホログラフィー技術の動向、テクノタイムズ社(月刊ディスプレイ)、2003



受賞者のプロフィール
三科 智之(みしな ともゆき)

(独立行政法人 情報通信研究機構)
抱負
自然な立体表示を可能とするホログラフィを立体テレビに適用させるため、入力、表示の両面から電子ホログラフィの研究を
進めております。研究当初からいろいろ勉強させていただいたHODICにおいてこのような名誉あるすばらしい賞をいただき、光栄
であるとともに、大変嬉しく感じております。これからも、自然でリアルな立体表示の実現に向けて研究を続けてまいりますので、
今後ともご指導よろしくお願いいたします。
略歴
1989年,東京理科大学大学院修士課程修了.同年,日本放送協会に入局.1992年,同放送技術研究所.
2006年より独立行政法人情報通信研究機構に出向.2007年,東京工業大学大学院博士課程修了.
超臨場感コミュニケーションのための立体映像の研究に従事.

大井 隆太朗(おおい りゅうたろう)
(独立行政法人 情報通信研究機構)
略歴
2004年,東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了.同年,NHK 放送技術研究所滞在研究員.
2006年,独立行政法人情報通信研究機構採用.高機能イメージセンサ,多眼画像処理システム,
空間像再生型立体映像の信号処理,ホログラフィに関する研究に従事.

奥井 誠人(おくい まこと)
(独立行政法人 情報通信研究機構)
略歴
1980年東京工業大学大学院物理情報工学専攻修士課程修了.同年日本放送協会入局.1983年より放送技術研究所.
2006年より情報通信研究機構に出向,超臨場感コミュニケーションのための立体映像の研究に従事.

洗井 淳 (あらい じゅん)
(日本放送協会 放送技術研究所)
略歴
1995年,早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了.同年,NHKに入局.現在,同放送技術研究所にて,
立体テレビ方式の研究に従事.

川井 博史(かわい ひろし)
(日本放送協会 放送技術研究所)
略歴
2002年,東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程修了.同年,日本放送協会に入局.
2005年より同放送技術研究所にて,立体テレビの研究に従事.

岡野 文男(おかの ふみお)
(日本放送協会 放送技術研究所)
略歴
1978年入局,名古屋放送局を経て,1981年から放送技術研究所勤務.カメラ中心にハイビジョンシステムの
研究開発を進める.その後,高臨場感映像システムの研究に転じ,超高精細映像,インテグラルフォトグラフィや
ホログラフィなどの立体映像の研究に従事.



受賞者のプロフィール
山口 健(やまぐち たけし)

(日本大学理工学部・吉川研究室)
抱負
計算機ホログラムの研究に携わってから今年で6年目になります。この6年でも計算機ホログラムの
表示技術は格段に進歩しており,日々の自分の研究成果に驚くことも多々あります。しかし,現在の
計算機ホログラムが一般の方に正しく認知されるにはいたっておりません。今後もこの分野が新たな
表示手法として認知されるよう取り組んでいきたいと思います。
略歴
2004年,日本大学理工学部電子工学科卒業
2006年,日本大学大学院理工学研究科電子工学専攻修了
同年  日本大学理工学部電子情報工学科 副手
2007年,日本大学理工学部電子情報工学科 助手 (現在に至る)
研究業績
1.山口健,吉川浩:“インタラクティブホログラフィックテレビジョン ―イメージ型による高速化とレインボウホログラムを用いたフルカラー化―”,映像情報メディア学会誌, vol. 60, No. 5, pp. 813-818, 2006.
2.岡部玄,山口健,吉川浩:“リアルタイムフルカラーHoloTVの諸特性”,映像情報メディア学会誌,Vol. 61,No. 8,pp. 1188-1190,2007.
3.藤田治良,山口健,吉川浩:“ホログラムの白色光再生シミュレーション”,映像情報メディア学会誌,Vol. 61,No. 10,pp. 1481-1485, 2007.
4.H. Kang, T. Fujii, T. Yamaguchi, H. Yoshikawa:“A Compensated Phase-Added Stereogram for Real-Time Holographic Display”,SPIE Journal of Optical Engineering, Vol. 46, 095802, 2007.
5.T. Yamaguchi, Gen. Okabe, H. Yoshikawa:“Real-time Image Plane Full-color and Full-parallax Holographic Video Display System”,SPIE Journal of Optical Engineering, No. 070240, 2007.
6.Hoonjong Kang, Takeshi Yamaguchi, and Hiroshi Yoshikawa:“Accurate phase-added stereogram to improve the coherent stereogram”,Applied Optics, pp. D44-D54, Vol. 47, No. 19, 2008.
7.Takeshi Yamaguchi, Fujii Tomohiko and Hiroshi Yoshikawa:“Fast calculation method for computer-generated cylindrical holograms”,Applied Optics, pp. D63-D70, Vol.47, No. 19, 2008.
8.優秀論文賞,岡部玄,山口健,吉川浩,平成19年7月12日 3次元画像カンファレンス 2006,
タイトル:全方向視差のインタラクティブホログラフィックテレビジョンのフルカラー表示
9.山口健,吉川浩:“全方向視差のインタラクティブホログラフィックテレビジョン−イメージ型による高速化−”,ホログラフィックディスプレイ研究会,25, 3, pp.10-13, 2005
10.大村直之,姜宗勲,山口健,吉川浩:“ホログラフィックテレビジョンの視域拡大に関する一検討”,ホログラフィックディスプレイ研究会,Vol. 27, No. 3, pp. 20-23, 2007
11.山口健,松岡雅,吉川浩:“フリンジプリンタの開発”,ホログラフィックディスプレイ研究会,Vol. 28, No. 1, pp. 15-21, 2008



受賞者のプロフィール
黄雅玲 Ya-Ling Huang

(崑山科技大學 Kun Shan University・Hologram 3D Image Laboratory)
略歴
1990.01-1993.05  Columbia College, USA Bachelor of Arts。BA in Painting.
1993.08-1994.12  Lindenwood College, USA. Master of Arts in Painting and Art History.
2002.9-2008 Doctoral candidate in Visual Design, National Taiwan Univesity of Science and Technology,Taiwan.



鈴木・岡田賞のトップページへ