2016年度(第7回)HODIC鈴木・岡田記念賞
HODIC鈴木・岡田記念賞 選考委員会報告
選考委員長 山本健詞(情報通信研究機構)
2016年度HODIC鈴木・岡田記念賞選考委員会は、2017年4月24日に開催した委員会にて慎重に審議を行い、2016年度HODIC鈴木・岡田記念賞として以下の3名の方を選考しました。
後日幹事会において承認され、受賞が決定しましたのでここにご報告します。
左より,山本健詞選考委員長,堤 直人氏,白倉 明氏,高田直樹氏,伊藤智義HODIC会長
■技術部門(3件)
●技術部門賞(1):高田 直樹 氏(高知大学)
受賞理由:同氏は、GPUを活用した電子ホログラフィのリアルタイム化で数多くの業績を上げてきた。
受賞対象論文のシステムは、PC5台にGPU13枚を搭載させ、各PC間のデータ転送にはInfiniBandを用いることで、1色あたり約21,000点からなる物体を表示する1920×1024ピクセルのホログラムを高速に計算して、高画質なカラーの立体像を表示できるものとなっている。このシステムを構築して電子ホログラフィの表示ポテンシャルを示せた点を高く評価できる。
また、構築は学生を熱心に指導しながら進めており、その姿は多くのホログラム研究者に刺激を与えている。
対象論文: “GPUクラスタシステムによるリアルタイムカラー電子ホログラフィ”, 田直樹他, 平成28年第4回 ホログラフィック・ディスプレイ研究会
●技術部門賞(2):白倉 明(アーティエンス・ラボ)
受賞理由:同氏は、ホログラフィックステレオグラム方式のホログラムを中心に研究開発や社会実装を行い、数多くの業績を上げてきた。
受賞対象の論文は、ホログラムだけでなくその照明技術の重要性にも着目して、独自に開発したLED内蔵型ホログラムWOWLIGHTについて述べている。
WOWLIGHTとして、コンサート等でのアーティスト応援グッズとして使えるモデルに加えて、テーブルトップで使えるモデルなども考案している。また、スマートフォンを使って認証できるホログラムのツール、WOWcoderについても述べ、ホログラムの新たな活用方法を提案している。
これら実用化を念頭に置いた技術開発はホログラムの普及には重要であり、高く評価できる。
対象論文: “WOWGAM技術とその応用”, 白倉明, 平成28年第2回 ホログラフィック・ディスプレイ研究会
●技術部門賞(3):堤 直人(京都工芸繊維大学)
受賞理由:同氏は、フォトリフラクティブ材料やフォトクロミック材料を用いた書き換え可能なホログラム用材料の研究を行ってきており、数多くの業績を上げてきた。
受賞対象の論文では、アゾカルバゾールモノリシック化合物を用いた材料による書き換え型フルカラーホログラフィーについて設計指針を提案し、
MACzE/PMMAを用いて実証している。材料開発は動画ホログラフィを実現するための基礎的な技術であり、フルカラーに向けての設計指針の提案と実証は、高く評価できる。
対象論文: “3Dマルチカラーホログラフィックディスプレイシステム”, 堤直人他, 平成28年第4回 ホログラフィック・ディスプレイ研究会
受賞者のプロフィール等 会報37巻2号より抜粋
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