1997年度(第4回)HODIC鈴木・岡田賞


技術部門賞: 高橋進、戸田敏貴 (凸版印刷(株)総合研究所 新商品研究所)

選定理由:グレーティングイメージを応用した3Dビデオシステムについて優れた研究を行なってきた。その成果はホログラム素子を作製する際の指針となり、また立体画像技術の発展に寄与するものである。

芸術部門賞: 酒井朋子 (千葉大学工学部情報画像工学科)

選定理由:長年に渡り優れたホログラム作品を発表してきた。また、各種の講演や展示会・ワークショップ等の企画運営を通じてホログラムの普及・指導に貢献してきた。


選考経過報告

’97年度HODIC鈴木・岡田賞
                                        選考委員会 委員長       谷口幸夫

  技術部門に関しては、優れた成果を挙げている3つの研究に絞られ、研究成果、年齢、将来性など
様々な角度から検討がなされた。特に高橋進・戸田敏貴両氏の研究はホログラム光学素子の研究で
あるものの、ホログラム応用の新しい可能性を示すものであり、また3次元ディスプレイへの応用で
あることからも、ホログラフィックディスプレイの発展に貢献したとの理由で、同グループへの授賞
を全員一致で決定した。

  芸術部門に関しては、候補者は2名に絞られた。作品製作および発表の積極性、年齢、作品の質、
将来性などについての議論がなされた。特に、酒井朋子氏は優れたホログラム作品を発表してきて
いることが挙げられた。既に長年に渡り活躍している実力者であることも指摘されたが、本賞の設立
時点ではたまたま作品発表を休止していたことを考慮すべきとの点で意見が一致した。また、作品
製作にとどまらず、各種の講演や展示会・ワークショップ等の参加を通じてホログラムの普及・指導
に貢献しており、このことは鈴木岡田両氏のご遺志にそうであろうことも強調された。以上2つの
理由から、授賞が決定した。

なお、選考委員会の次期委員長には三田村峻右氏(筑波大学芸術学系)に決定した。




受賞者のプロフィール

技術部門:
高橋 進
昭和38年2月15日生まれ  35歳

経歴
昭和60年3月 千葉大学工学部画像工学科 卒業
昭和60年4月 凸版印刷(株)入社
平成3年4月〜平成5年3月
東京工業大学 像情報工学研究施設 研究生
現在 凸版印刷(株) 総合研究所 新商品研究所 勤務

研究業績

発表等
1) 高橋、戸田、岩田:”グレーティング・イメージ・ホログラム”,印刷学会 第84回春季研究発表会講演予行集(1990) pp13-16
2) S.Takahashi,T.Toda, F.Iwata: "Three Dimensional Grating Image",SPIE Vol.1461 (1991)pp199-204
3) 高橋、戸田:”グレーテイング・イメージによる3次元物体の記録”,ホログラフィック・ディスプレイ研究会会報 Vol.11 No.2 (1991) pp8-14
4) 高橋、本田、大山、山口、岩田:”ホログラフィック・ステレオグラムにおける視差画像の補間の研究”,第39回応用物理学関連連合講演会予稿集(1992) pp829
5) 高橋、本田、大山、山口、岩田:”ホログラフィック・ステレオグラムにおける視差画像の補間の研究(2)”,第53回応用物理学会学術講演会予稿集(1992) pp797
6) S.Takahashi,T.Honda,N.Ohyama,M.Yamaguchi,F.Iwata:"Generation Intermediate Parallax-Images for Holographic Stereograms",SPIE Vol. 1914(1993) pp2-7
7) 戸田、山口、高橋、岩田:”グレーティングイメージ”,ホログラフィック・ディスプレイ研究会会報 Vol.13 No.2 (1993) pp18-21
8) 高橋、本田、大山、岩田:”立体像表示のための三次元画像入力法の検討”,ホログラフィック・ディスプレイ研究会会報 Vol.13 No.2 (1993) pp22-25
9) 高橋、本田、大山、岩田:”少ない視差画像からのホログラフィック・ステレオグラムの原画作成”,3次元画像コンファレンス講演論文集(1993)
10) 高橋、本田、大山、岩田:”ホログラフィックステレオグラムにおける視差画像の補間”,光学 第22巻 第11号(1993) pp703-713
11) 高橋、本田、大山、岩田:”ホログラフィックステレオグラムのためのマルチカメラ画像入力での中間像合成”,テレビジョン学会技術報告 Vol 17,No.82 (1993) pp19-23
12) 高橋、岩田:”視差画像列からの任意視差画像の生成 −背景の分離処理−”、HODIC講演会 (1994)
13) T.Toda, S.Takahashi, F.Iwata: "3D Video System using Grating Image", SPIE Vol.2406(1995) pp191-198
14) 高橋、戸田、岩田:“グレーティングイメージを用いた動画立体像表示システム”,3次元画像コンファレンス講演論文集(1995)pp64-69
15) S.Takahashi, T.Toda, F.Iwata: "Full Color 3D-Video System using Grating Image", SPIE vol.2652 (1996)pp54-61
16) 高橋、戸田、岩田:“グレーティングを用いた3Dビデオシステムについて”,ホログラフィック・ディスプレイ研究会会報 Vol.16 No.1 (1996) pp14-18
17) 戸田、高橋、岩田:“グレーティングイメージを応用したフルカラー3Dビデオシステム”,3次元画像コンファレンス講演論文集(1996) pp131-136
18) S.Takahashi, T.Toda, T.Mizobuchi, F.Iwata: "3D-Video System with LCD and Grating array", Proc. IDW ,Kobe (1996)pp457-459
19) 高橋:“グレーティング応用の立体動画像表示”,光学26巻6号(1997), pp324-325
20) 高橋、溝渕、岩田:“3D Video Systemを用いた実写動画立体像の表示”,3次元画像コンファレンス講演論文集(1997)pp198-203
21) 高橋:“グレーティング応用立体動画像表示”,日本光学会 光設計グループ機関誌No.12 (1997), pp30-35
22) 高橋、溝渕、岩田:“グレーティングを用いた3Dビデオシステムについて(2)”,ホログラフィック・ディスプレイ研究会会報 Vol.17
No.3 (1997)
23) 高橋:”グレーティングイメージを応用したフルカラー3Dビデオシステム”,O plus E,1997-12 No.217 (1997) pp120-124
24) 戸田、高橋、岩田:“グレーティングイメージを応用した3Dビデオシステム”, ディスプレイ・アンド・イメージング1997 Vol.6 (1997) pp3-16

受賞
3次元画像コンファレンス ’96年度優秀論文賞受賞 戸田、高橋、岩田
“グレーティングイメージを応用したフルカラー3Dビデオシステム”

抱負
ホログラムと付き合って10年以上過ぎましたが、まだ解らない事だらけです。
今後もこの問題をひとつづつ解決しながら研究・開発を進めていきたいと思います。
また、企業に勤める者の受賞という事で、ホログラム並びに立体ディスプレイを世間に広める事を使命と考え、努力を続けたいと考えています。


受賞者のプロフィール

技術部門:
戸田敏貴
昭和41年10月11日生まれ 31歳

経歴
平成元年3月 中央大学 理工学部物理学科 卒業
平成元年4月 凸版印刷(株)入社
平成8年4月 〜 平成10年3月
千葉大学 工学部画像工学科 研究生
現在 凸版印刷(株)総合研究所 新商品研究所 勤務

研究業績

研究発表等
1) 高橋、戸田、岩田: ”グレーティング・イメージ・ホログラム”, 日本印刷学会 第84回春季研究発表会講演予行集(1990), 13-16
2) S.Takahashi, T.Toda, F.Iwata: "Three Dimensional Grating Image",SPIE Vol.1461 (1991), 199-204
3) 高進、戸田:“グレーティングイメージによる3次元物体の記録”, ホログラフィック・ディスプレイ研究会会報Vol.11 No.2 (1991), 8-14
4) 戸田、康、岩田: “グレーティングイメージを応用した3次元ディスプレイ”, 第40回応用物理学関係連合講演会予稿集No.3(1993) , 904
5) 戸田、山口、高橋、岩田: “グレーティングイメージ”, ホログラフィック・ディスプレイ研究会会報Vo.13 No.2(1993), 18-21
6) 戸田、康、岩田: “立体画像の新しい表示方法”, 日本印刷学会 第90回春期研究発表会講演予行集(1993) , 85-88
7) T.Toda, S.Takahashi, F.Iwata: "3D Video System using Grating Image", SPIE Vol.2406(1995) , 191-198
8) 高橋、戸田、岩田:“グレーティングイメージを用いた動画立体像表示システム”, 3次元画像コンファレンス講演論文集(1995), 64-69
9) S.Takahashi, T.Toda, F.Iwata: "Full Color 3D-Video System using Grating Image", SPIE vol.2652 (1996), 54-61
10) 高橋、戸田、岩田:“グレーティングを用いた3Dビデオシステムについて”, ホログラフィック・ディスプレイ研究会会報 Vol.16 No.1 (1996), 14-18
11) 戸田、高橋、岩田:“グレーティングイメージを応用したフルカラー3Dビデオシステム”,3次元画像コンファレンス講演論文集(1996), 131-136
12) S.Takahashi, T.Toda, T.Mizobuchi, F.Iwata: "3D-Video System with LCD and Grating array", Proc. IDW Kobe (1996), 457-459
13) 戸田、本田、岩田: “3Dディスプレイ用回折格子セルのアポディゼーション”, 第58回応用物理学会学術講演会予稿 No.3(1997) , 928
14) 戸田、高橋、岩田: “グレーティングイメージを応用した3Dビデオシステム”, ディスプレイ・アンド・イメージング1997 Vol.6(1997), 3-16
15) T. Toda, T. Honda, F. Iwata, "Apodized grating cell to display 3D images", Practical Holography XII, SPIE 3293(1998), 54-62

受賞
3次元画像コンファレンス '96年度優秀論文賞受賞 戸田、高橋、岩田
“グレーティングイメージを応用したフルカラー3Dビデオシステム”

今後の抱負
ホログラムに魅了されてこの道を志し、このような賞を頂けて光栄に思います。
個人的にはホログラム関連技術の中でもホログラフィックディスプレイの方に関心があるので、今後も微力ながらこの分野でホログラム技術の発展に貢献できるよう頑張りたいと思います。


受賞者のプロフィール

芸術部門:
酒井朋子

経歴
1978年 東京工芸大学短期大学部写真応用科卒業
同年、千葉大学に就職
現在、千葉大学工学部情報画像工学科文部技官

ホログラフィ関連研修歴
1977年 ホログラフィ講習会(多摩芸術学園)
1983年 千葉大学工学部天然色工学研究施設(当時)池田卓先生に師事
1985年 ホログラフィワークショップ初級編(レイクフォーレストカレッジ、シカゴ)
1991年 ホログラフィワークショップ上級編(同上)

公募展
1986年 ハイテクノロジーアート公募展'86 入選(松阪屋本店、愛知/池袋サンシャインティ文化会館、東京)
1989年 第1回名古屋国際ビエンナーレARTEC'89公募展 入選(名古屋市科学館、愛知)
1991年 第2回名古屋国際ビエンナーレARTEC'91公募展 入選(名古屋市科学館、愛知)
      第6回国民文化祭千葉'91国際映像祭」国際映像祭実行委員長賞(千葉市文化センター、千葉)
1993年 第3回名古屋国際ビエンナーレARTEC'93公募展 入選(名古屋市科学館、愛知)
1995年 第4回名古屋国際ビエンナーレARTEC'95公募展 入選(名古屋市科学館、愛知)

グループ展
1984年 ホログラフィックディスプレイ展(札幌五番館、北海道/船橋西武美術館、千葉)
1986年 ホログラフィー四人展(銀座月光荘ギャラリー、東京) 
       ホログラムナウ'86展(新宿NSビル、東京)
1987年  動くホログラフィ展(三菱電機銀座スカイリング、東京)
1988年  日本先端科技芸術展(台湾省立美術館、中華民国)
1989年  ホログラムナウ'89展(新宿NSビル、東京) 
1990年  ホログラムアニュアル'90イン銀座展(銀座ギャラリー中沢、東京)
        以後毎回出品
1992年  多摩芸術学園ホログラフィ作品展(NEC秋葉原BSVAシアター、東京)
       ハイテクCGワールド(イムズ、福岡)
       ホログラフィ展〜東京工業大学 ・千葉大学のコレクションから〜
       ゲストキュレーター   (東京工芸大学・写大ギャラリー、東京)
1992〜3年 NECエレクトロニックアートギャラリー(ザ・フォーラム、東京)
1993年  第1回大学ホログラフィー展(パシフィコ横浜、神奈川)
1994年  フランスホログラフィー美術館展(新宿NSビル、東京)
        眼の宇宙─かたちをめぐる冒険展(兵庫県立近代美術館、兵庫)
        3次元イメージとホログラフィの国際シンポジウム/展示(財)イメージ情報科学研究所、大阪)
1995年  夏休みホログラフィー大百科展(新宿NSビル、東京)
        第3回 大学ホログラフィー展(名古屋造形芸術大学、愛知)
1997年  宝塚大ふしぎ展(宝塚ファミリーランド、兵庫)

講演とホログラム展示
1996年  「ホログラフィーによる表現」日本写真学会第12回写真技術セミナー(富士写真フィルム本社ホール、東京)
1997年  「ホログラフィーについて」沖縄写真学究会第1回フォーラム(パレットくもじ/沖縄)

ホログラフィ講習会
        ホログラフィ講習会(多摩芸術学園)
        ホログラフィ・アート講座(船橋コミュニティカレッジ)
1993年   '93世界のホログラフィ・アート展/
         ホログラフィーの手作り教室(大丸ミュージアム)
1994年   日本物理学会公開シンポジウム「光は未来をひらく」/ホログラフィ実習とデモンストレーション(上智大学)
        3次元イメージとホログラフィの国際シンポジウム/ホログラムワークショップ((財)イメージ情報科学研究所)
1994、5年 千葉大学・学びを楽しむ日/大学探検隊(千葉大学工学部画像工学科)
1995、6年 ホログラフィー・ワークショップ(東京都写真美術館)
1996年   立体映像探検ツアー ─立体映像の秘密を探ろう─
         (千葉大学工学部地域事業協力推進委員会、企画:画像工学科) 

抱負
多くの方々のお力添えによってこれまで活動を続けてこられたことを感謝しています。今後もホログラムの魅力を数多くの人々に紹介する機会を持ち、身近に置いて愉しみ、心癒す作品を制作してゆきたいと思います。


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 Last Modified: 98/06/05 21:35