2009年度(第16回)HODIC鈴木・岡田賞



HODIC鈴木・岡田賞選考委員会報告

選考委員長 佐藤甲癸

 ホログラフィック・ディスプレイ研究会(HODIC)では、2010年4月6日に選考委員会を開催し、
審議の結果、貢献賞1件、技術部門技術賞1件、技術部門奨励賞1件、芸術部門奨励賞1件が選考されました。

      


●貢献賞 : 酒井朋子氏 (千葉大学)

授賞理由: 大学ホログラフィ展、その他のHODICが関係したホログラフィ展示会では
        長年にわたって熱心に携わりその発展に大いに寄与した
 
 

●技術部門 技術賞 : 坂本雄児氏 (北海道大学)

対象論文: 「CGHデータの補正によるホログラフィックディスプレイに用いられる光学系の収差改善法」
          HODIC Circular Vol. 29, No. 4, pp. 3-8 (2009)
        「ランダムなカメラ配置からの多視点画像を用いた計算機合成ホログラム」
          HODIC Circular Vol. 29, No. 4, pp. 9-14(2009)
授賞理由: CGHの研究に関して熱心に取組み再生像の広視域化など特性の改善の研究に秀れた成果をあげている
 
 

●技術部門 奨励賞 : 高野雅美氏 (凸版印刷株式会社)

対象論文: 「機械読み取りセキュリティーデバイスの開発」
          HODIC Circular Vol. 30, 1, pp. 2-8(2009)
授賞理由: 二次元コードの情報パターンを回折格子で表現し、種々の種類の紙に転写した場合にも
        安定して読み取ることができる手法の可能性を示した
 
 

●芸術部門 奨励賞 : 何宗翰 Zong-Han He 、謝美莉 Mei-Li Hsieh (国立台湾師範大学)

対象作品・発表: 
 「 Carving 」(2009年度大学ホログラフィー展)
授賞理由: 新しいアイデアの作品であり、今後の活動が期待できる
 
 

  「Carving」



受賞者のプロフィール
酒井 朋子(さかい ともこ)
(千葉大学 工学部)
抱負
このたびは、第16回HODIC鈴木・岡田賞貢献賞を授与下さいましてありがとうございました。
第4回HODIC鈴木・岡田賞芸術部門賞に引き続き2度目の受賞となりますことにためらいもございましたが、
この栄誉ある本賞に私をご推薦下さいました選考委員の皆様、HODIC幹事の皆様に心から御礼申し上げ、
HODIC会員の皆様に感謝申し上げます。

職歴、HODIC歴
1978年 東京工芸大学短期大学部写真応用科卒業
1978年〜 千葉大学工学部画像工学科 文部技官
      1981年〜 HODIC入会
      1985年〜 HODIC編集委員
      1989年〜 HODIC常任幹事
1998年〜 千葉大学工学部情報画像工学科 文部技官
2004年〜 国立大学法人千葉大学工学部情報画像工学科 技術専門職員
2009年〜 国立大学法人千葉大学工学部画像科学科 技術専門職員
ホログラフィ関連研修歴
1977年 ホログラフィ講習会(多摩芸術学園)
1983年 千葉大学工学部天然色工学研究施設(当時)池田卓先生に師事
1985年 ホログラフィワークショップ初級編(レイクフォーレストカレッジ、シカゴ)
1991年 ホログラフィワークショップ上級編(同上)

受賞
1997年 1996年度第4回ホログラフィック・ディスプレイ研究会鈴木・岡田賞 芸術部門賞
1986年 ハイテクノロジーアート公募展'86 入選(松阪屋本店、愛知/池袋サンシャインティ文化会館、東京)
1989〜1995年 第1回〜第4回名古屋国際ビエンナーレARTEC公募展 入選(名古屋市科学館、愛知)
1991年 第6回国民文化祭千葉'91国際映像祭」国際映像祭実行委員長賞(千葉市文化センター、千葉)

グループ展
1984年 ホログラフィックディスプレイ展(札幌五番館、北海道/船橋西武美術館、千葉)
1986年 ホログラフィー四人展(銀座月光荘ギャラリー、東京) 
      ホログラムナウ'86展(新宿NSビル、東京)
1987年 動くホログラフィ展(三菱電機銀座スカイリング、東京)
1988年 日本先端科技芸術展(台湾省立美術館、中華民国)
1989年 ホログラムナウ'89展(新宿NSビル、東京) 
1990〜99年 ホログラムアニュアル イン銀座展(銀座ギャラリー中沢、東京)
1992年 多摩芸術学園ホログラフィ作品展(NEC秋葉原BSVAシアター、東京)
      ハイテクCGワールド(イムズ、福岡)
      ホログラフィ展〜東京工業大学 ・千葉大学のコレクションから〜(東京工芸大学・写大ギャラリー、東京)
1992〜3年 NECエレクトロニックアートギャラリー(ザ・フォーラム、東京)
1993年 第1回大学ホログラフィー展(パシフィコ横浜、神奈川)
1994年 フランスホログラフィー美術館展(新宿NSビル、東京)
      眼の宇宙─かたちをめぐる冒険展(兵庫県立近代美術館、兵庫)
      3次元イメージとホログラフィの国際シンポジウム/展示(財)イメージ情報科学研究所、大阪)
1995年 夏休みホログラフィー大百科展(新宿NSビル、東京)
      第3回 大学ホログラフィー展(名古屋造形芸術大学、愛知)
1997年 宝塚大ふしぎ展(宝塚ファミリーランド、兵庫)
1999年 不思議な光のワンダーランド(狭山市立博物館、埼玉)
2000年 映像工夫館展「3D@スペクタル2000」前期part2展(東京都写真美術館、東京)
      不思議体験・光のファンタジー展(県立山口博物館、山口)
      不思議体験・光のミラクルランド展(浜松科学館、静岡)
2001年 不思議な国の美術館(梅田大丸、大阪)
2005年 異次元ワールドDre-Mo(石和温泉常設展示館、山梨)
2006年 東京工業大学百年記念館第7回特別展示「ホログラフィー サイエンスからアートへ」(東京工業大学、東京)
2007年 「応用物理」創立75周年「ホログラフィー映像表現と先端技術」(国立科学技術館、東京)
      不思議な光ミュージアム(愛媛県総合科学博物館、愛媛)
      第14回大学ホログラフィー展(千葉大学、千葉)

講演とホログラム展示
1996年 「ホログラフィーによる表現」日本写真学会第12回写真技術セミナー(富士写真フィルム本社ホール、東京)
1997年 「ホログラフィーについて」沖縄写真学究会第1回フォーラム(パレットくもじ/沖縄)
2008年 「ホログラフィー・ワークショップの開催方法〜体験編・基礎編〜」HODIC研究会平成19年第4回研究会(千葉大学、千葉)
      「ホログラフィー サイエンスとアートの出会い」光のふしぎ展開催記念(北九州イノベーションギャラリー、福岡)

ホログラフィ講習会
1985〜91年 ホログラフィ講習会(多摩芸術学園、神奈川)
1991〜92年 ホログラフィ・アート講座(船橋コミュニティカレッジ、千葉)
1993年 '93世界のホログラフィ・アート展/ホログラフィーの手作り教室(大丸ミュージアム、東京)
1994年 日本物理学会公開シンポジウム「光は未来をひらく」/ホログラフィ実習とデモンストレーション(上智大学、東京)
      3次元イメージとホログラフィの国際シンポジウム/ホログラムワークショップ((財)イメージ情報科学研究所、大阪)
1994、5年 千葉大学・学びを楽しむ日/大学探検隊(千葉大学工学部画像工学科、千葉)
1995、6、8、9、2000年 ホログラフィー・ワークショップ(東京都写真美術館、東京)
1996年 立体映像探検ツアー ─立体映像の秘密を探ろう─(千葉大学工学部地域事業協力推進委員会、企画:画像工学科) 
1998、9年 千葉大学サマースクール(千葉大学工学部、千葉)
1999年 ホロ製作ワークショップ(狭山市立博物館、埼玉)
2000年 高度技術研修「レーザー利用技術の基礎」(千葉大学共同研究推進センター)
2003、4年 文部科学省サイエンスパートナーシッププログラム(千葉県立現代産業科学館、県下高等学校、千葉大学)
2006年 ホログラムをつくろう(愛媛県立総合科学博物館、愛媛)
2008年〜 JST共催「わくわく理科教室」、楽しい科学「ホログラフィーを学ぼう!」(千葉市科学館、千葉)

ホログラフィー展企画・開催
1992年 ホログラフィ展〜東京工業大学 ・千葉大学のコレクションから〜(東京工芸大学・写大ギャラリー、東京)ゲストキュレーター
1992〜2000年 千葉大学工学部祭ホログラフィー展(千葉大学)主催
1993年〜 大学ホログラフィー展(国内各地、ホログラフィック・ディスプレイ研究会共催、主催)実行委員
2001年〜 ホログラフィー展示(千葉大学サイエンスプロムナード)企画・管理



受賞者のプロフィール
坂本 雄児(さかもと ゆうじ)
(北海道大学 工学部)
抱負
大変に名誉ある鈴木・岡田賞を受賞することができ、心から嬉しく思っております。また、これまで支えて下さったHODICの皆様に感謝をいたします。子供の頃に見たホログラムの美しさに惹かれ、これにIT技術を融合したホロTVを実現しようと研究を行って参りました。実現までにはまだ道半ばです。これからも一層の努力をしていきますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

略歴
1983年 北海道大学 工学部 電気工学科卒業
1988年 同 博士課程修了,日立製作所 中央研究所 勤務
1993年 室蘭工業大学 電気電子工学科 講師のちに助教授
2000年 北海道大学 工学部 情報工学科 助教授 現在に至る

主な業績
・ Kazuhiro Yamaguchi, Yuji Sakamoto, “Computer Generated Hologram with Characteristics of Reflection: Reflectance Distributions and Reflected Images,” Applied Optics, 48(34), pp. H203-H211, 2009
・ Hironobu Sakata, Yuji Sakamoto, “Fast computation method for a Fresnel hologram using three-dimensional affine transformations in real space,” Applied Optics, 48(34), pp. H212-H221, 2009
・加藤淳史, 坂本雄児, “CGHデータの補正によるホログラフィックディスプレイに用いられる光学系の収差改善法”, HODIC Circular, Vol. 29, No. 4, pp.3-8 (2009)
・林規之, 坂本雄児, “ランダムなカメラ配置からの多視点画像を用いた計算機合成ホログラム”, HODIC Circular, Vol.29, No.4, pp. 9-14 (2009)
・坂本雄児,” 時分割多重による電子ホログラフィックディスプレイの基礎研究",HODIC Circular, Vol.25, No.4 (2005)
・金澤圭晃,坂本雄児,青木由直“屈折現象を考慮した計算機合成ホログラムの計算法”,電子情報通信学会論文誌,Vol.J88-D-?,No.1,pp.88-94 (2005)
・坂本 雄児,鶴野 敦士,“計算機合成ホログラムにおける物体光沢の表現法”,電子情報通信学会論文誌D-II,Vol.J88-D-? No.10 pp.2046-2053(2005)
・坂本雄児, "計算機合成ホログラムによる医用画像の立体表示", HODIC Circular, Vol.24, No.3,pp.10-13 (2004)
・坂本雄児,青木由直,“計算機合成ホログラムを用いたボリュームデータの立体表示”,電子情報通信学会論文誌,Vol.J86-D-?,No.2,pp.302-309 (2003)
・高瀬雅文,坂本雄児,青木由直,“光線の到来方向を考慮したZバッファによる計算機合成ホログラムの高速隠面処理法”,映像情報メディア学会誌,Vol.57, No.4, pp.483-489 (2003)
・坂本雄児,"さあ,CGHの時代ですよ", HODIC  Circular, Vol.22, No.2, 巻頭言 (2002)
・坂本雄児,長尾智大,“パッチモデルを用いた計算機合成フーリエ変換ホログラムの高速計算法”, 電子情報通信学会論文誌,Vol.J85-C,No.3,pp.150-157 (2002)
・Y.Sakamoto, K.Tajiri, T.Sawai and Y.Aoki, "Tree-Dimensional Imaging of Objects in Accumulated Snow using Multi-Frequency Holography", IEEE Tran. on Geoscience and Remote Sensing, Vol.26, No.4, pp.430-436 (1988)
・高橋佳成、坂本雄児、青木由直,"雪中レーダシステムのための3次元データ表示手法", 電子通信学会論文誌(D)、Vol.J71-D, No.10, pp.2002-2009 (1988)



受賞者のプロフィール
高野 雅美(たかの まさみ)
(凸版印刷株式会社 総合研究所)
抱負
この度の受賞、大変光栄に感じております。
私がホログラムに出合ったきっかけは高校3年の時に参加した千葉大学・画像工学科のオープンキャンパスでした。故岡田勝行先生がご自身の研究室を紹介される中で、ホログラムの今後について熱く語っていらっしゃったことを昨日のことのように覚えております。そしてその日から私もホログラムに魅せられ、同大学の本田研究室の門をたたくことになったのです。
以来十数年、私はホログラム関連の研究に携わって参りました。その中で今回のような栄誉ある賞を頂くことができたのは、会社の上司や同僚、HODIC等の学会でご助言下さる多くの方々の力添えがあったからだと思っております。今後も皆様への感謝と謙虚の気持を忘れずに、研究に関しては貪欲な姿勢で精進して参りたいと思います。

略歴
1998年 千葉大学工学部画像工学科 本田研究室 卒業
1998年 凸版印刷株式会社 入社
     ホログラムを用いたディスプレイ、セキュリティ関連の研究開発に従事
     現在に至る



受賞者のプロフィール
何宗翰 Zong-Han He
謝美莉 Mei-Li Hsieh
(国立台湾師範大学 The College of Art in National Taiwan Normal University)

 The College of Art in National Taiwan Normal University (NTNU) was established in 1982 and is the top college in Arts in Taiwan. Two decades later in 2002, the Institute of Electro-Optical Science and Technology was also established. Shortly after that, in 2006, our former University President Guo has the great vision to combine arts with optical science. His vision gave birth to the new media arts program in NTNU. In the same year, President Guo invited Professor Tsujiuchi and Dr. Ishii from Japan to visit our University. With their gracious help and suggestions, we quickly and successfully organize the Program of Electro-Optical Arts. In the summer of 2007, we were very fortunate to recruit Dr. Ishii to spend a limited, but valuable time with us. She taught us ways to create holographic artwork using one-step rainbow holography. On behalf of our university and the university president, I would like to take this opportunity to express our deepest appreciation to Drs. Tsujiuchi and Ishii for their help to develop this exciting program of Electro-Optical Arts in NTNU.

The Program of Electro-Optical Arts officially started in the fall semester of 2008. In the spring of 2009, I had the honor to give a lecture on Holographic Art together with Dr. Ishii. We build up a “two-step rainbow holographic system”, which was used to teach students to create holographic artworks. At the end of this semester, we held a holographic exhibition event with holographic artworks from a total of 19 students'. Three of the best holographic artworks were selected and send to 16th University Hologram Exhibits in Japan at the end of October in 2009. It is our great honor to receive the annual award of the Incentive Prize of "HODIC, SUZUKI/OKADA Prize" with "Craving" holography work. Again, we would like to express our deepest appreciation to Dr. Ishii's assistance for making our holographic art program at NTNU a great success. In the future, we will continue this program of Electro-optical Art in NTNU. Under the leadership of our new University President Chang, we believe that this exciting art program will continue to grow and blossom in the years to come.

I would also like to comment on the basic concept of the “Craving” holographic work.  The idea is to make a sculpture from real pieces of wood and to uniquely display the whole spectrum of rainbow color at different viewing angle. Moreover, I like to point out that the illuminated light plays a very important role for reconstructing the hologram. We believe the compactness of a LED device as well as its light quality will make it an attractive option for illuminating purpose. Consequently, we chose to combine a LED light source with the rainbow hologram to form an integrated piece of an artwork.

Mei-Li Hsieh received her BS in electrophysics in 1994, and her MS and PhD in elelctro-optical engineering in 1996 and 2000, all from National Chiao Tung University in Taiwan. She is currently an associate professor at the Institute of Electro-Optical Science and Technology at National Taiwan Normal University. Her research areas are holography for information processing, holographic lithography, holographic 3D display and art, and optical integration.

Zong-Han He received his BS in communication engineering in 2009 from I-Shou University in Taiwan. He is currently studying his master degree at the Institute of Electro-Optical Science and Technology at National Taiwan Normal University. His research subject is focus on holographic 3D display.


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