2004年度(第11回)HODIC鈴木・岡田賞

  
貢献賞
久保田敏弘 
京都工芸繊維大学工芸学部電子情報工学科
授賞理由
久保田先生の貢献は多々ありますが、以下に列挙いたします。
1) HODIC結成初期の段階から積極的にホログラムに関する研究を行っています
2) 特にカラーホログラフィーでは世界的第一人者であり、日本のホログラムの知名度を高めています
3) 展示会、セミナーなどへの積極的なホログラムの普及活動を行っています
4) 数々の著書を通じて、ホログラフィーに興味を持った人が研究に着手するきっかけを作っていらっしゃいます。

技術部門 技術賞
的場修 
神戸大学工学部情報知能工学科
対象論文
『ホログラフィーと情報セキュリティー』
HODIC Circular Vol24., No.4  (Nov. 2004)
授賞理由
光暗号化技術を用いた大容量データの記録・高速読み出しが可能な次世代光メモリーであるホログラフィックメモリーシステムについて提案し、先駆的な研究を継続している。これら一連の研究はホログラフィーの実用化を目指した社会的にも重要な研究課題であり、テラバイト、ぺタバイトクラスの記録容量が期待できるシステムとして注目される。

技術部門 奨励賞
小松彩  
京都工芸繊維大学工芸学部電子情報工学科
対象論文
『超短パルスレーザーを用いたホログラフィによる光波面伝播の観察』
HODIC Circular Vol24., No.4  (Nov. 2004)
授賞理由
光伝播の評価手法に関し、超短パルスレーザーとホログラフィを用いて光伝播を可視化するという先駆的研究を通じて、豊富な実験を行い、動画像にて思慮深く解析した。今後も光学技術の研究開発に携わるとのことで更なる活躍が期待される。

芸術部門 奨励賞
黒柳 陽子 
有限会社クネップ 取締役社長
対象作品及び論文
HODIC展示、SPIEでの展示
『ホログラフィーについて自分が感じていること』
HODIC Circular Vol25., No.1  (March. 2005)
授賞理由
昨年のホロラーホログラムに続き、パルスレーザーでの作品製作など発表しており、ホログラムをより普及させるための一連のホログラムデザインへの精力的な取り組みをしている。将来、ホログラムの一層の普及に貢献することが期待される。
 

     

     HODIC鈴木・岡田賞選考委員会報告
                                         
                                                      選考委員長 植田健治

2005年2月2日並びに4月1日に選考委員会を開催し、選考委員より、貢献賞1件、技術分野2件、芸術分野2件が候補として推薦されました。慎重に議論した結果、貢献賞1件、技術賞1件、技術分野・奨励賞1件、芸術分野・奨励賞1件が選考されました。以下に結果を報告します。

          

受賞者プロフィール
久保田敏弘 
京都工芸繊維大学工芸学部電子情報工学科
1943年 1月14日 生れ
略歴
1961年 3月 長野県飯田高等学校 卒業
1961年 4月 東京理科大学理学部物理学科 入学
1965年 3月 東京理科大学理学部物理学科 卒業
1965年 4月 富士写真フイルム株式会社(1966年4月まで)
1966年 3月 東京理科大学大学院理学研究科修士課程物理学専攻 入学 
1968年 3月 東京理科大学大学院理学研究科修士課程物理学専攻 修了
1968年 4月 東京大学生産技術研究所 助手
1983年 5月 京都工芸繊維大学工業短期大学部 助教授
1988年10月 京都工芸繊維大学工芸学部 助教授
1993年 9月 米国マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員準教授、1993年10月まで)
1993年12月 京都工芸繊維大学工芸学部 教授
HODICにおける活動
幹事、大学ホログラフィー展実行委員長
抱負
この度はHODIC鈴木・岡田賞の貢献賞をいただくことができ、ありがとうございました。ふとしたことからホログラフィーに出会い、その魅力に惹かれてもう40年近くなりました。その研究を通して多くの人々と知り合うことができました。この出会いを大切にして、今後もホログラフィーの発展と普及に尽力し社会に貢献できればと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。
主な業績
著書
・ホログラフィックディスプレイ,辻内順平編著,分担(産業図書 1990).
・科学の目でみる文化財,国立歴史民俗博物館編,分担(アグネ技術センター 1993).
・ホログラフィ入門 ―原理と実際―(朝倉書店1995).
・最新光学技術ハンドブック,辻内順平他編,分担(朝倉書店 2002).
・The Art and Science of Holography  A Tribute to Emmett Leith and Yuri Denisyuk, ed. H.J. Caulfield,分担 (SPIE Press, 2004 ) 他,全12冊
学術論文(ホログラフィー関連の主な論文)
・久保田敏弘:ホログラム収差の干渉図形,光学 1, 6, 307-318 (1972).
・鈴木章義,武田光夫,久保田敏弘:超解像ホログラフィ,光学 2, 4, 213-220 (1973).
・T. Kubota, T. Ose, M. Sasaki, and K. Honda: Hologram formation with red light in methylene blue sensitized dichromated gelatin, Appl. Opt. 15, 2, 556-558 (1976).
・T. Kubota: Characteristics of thick hologram grating recorded in absorptive medium, Optica Acta 25, 11, 1035-1053 (1978).
・T. Kubota and T. Ose: New technique for recording a Lippmann hologram, Opt.Commun 28, 2, 159-162(1979)
・久保田敏弘:重クロム酸ゼラチンの色素増感とそのカラーホログラフィーへの応用,光学8, 4, 203-210 (1979).
・小寺時男,久保田敏弘:重クロム酸ゼラチンを用いたリップマンホログラムの作製,光学8, 4, 217-221 (1979).
・劉中本,久保田敏弘,小瀬輝次:高効率インラインホログラムレンズの作製, 光学13, 4, 315-319 (1984).
・T. Kubota: Recording of high quality color holograms, Appl. Opt. 25, 22, 4141-4145 (1986).
・久保田敏弘:リップマンホログラム再生像の鮮明化の試み,光学16, 5, 204-209 (1987).
・久保田敏弘:リップマンカラーホログラムの色再現と記録・保存への応用,光学18, 2, 97-102 (1989).
・久保田敏弘,岡浩義,関口敦史,足立久仁子,和田隆:カラーホログラフィによる文化財 の記録・展示(III)―カラーホログラムの作製とその色再現特性― ,日本写真学会誌54, 6, 636-642 (1991).
・T. Kubota: Lippmann color holography, J. Optics (Paris) 22, 6, 267-273 (1991).
・高瀬喜久,久保田敏弘:ホログラムキーを用いた新しいセキュリティカードシステム,光学22, 3, 156-161 (1993).
・黒川和雅,難波晋治,藤田達也,水野透,久保田敏弘:メチレンブルー増感重クロム酸ゼラチンを用いたフルカラーホログラムの作製,光学22, 7,428-433 (1993).
・M. Kawabata, A. Sato, I. Sumiyoshi, and T. Kubota, Photopolymer system and its application to color hologram, Appl. Opt.33,11,2152-2156 (1994).
・西原隆,久保田敏弘:リップマンカラーホログラム再生像の色変化に関する研究,光学25,6,329-336 (1996).
・H. Ueda, M. Okamoto, I. Nakamura, E. Shimizu, and T. Kubota: An application of interactive holograms for relaxation; Proc. SPIE, 2866,321-323 (1996). 
・Y. Taketomi and T. Kubota: Reflection hologram for reconstructing deep image; Opt. Lett., 22, 22, 1725-1727 (1997).
・M. Iwasaki, H. Shindo, T. Tanaka and T. Kubota: Spectral evaluation of laboratory-made silver halide emulsions for color holography, J. Imaging Sci. and Technol.,41,5,457-467 (1997).
・児玉幸子,久保田敏弘,三田村o右:リップマン・カラーホログラムのカラーサンプル作製法,デザイン学研究,45, 1, 47-54 (1998).
・H. Ueda, E. Shimizu, and T. Kubota: Image blur of edge-illuminated holograms; Opt. Eng. 37,1,241-246 (1998).
・Y. Taketomi and T. Kubota: Deep image reconstruction of a reflection hologram using a fluorescent lamp; Proc. SPIE, 3293, 196-204 (1998).
・T. Kubota, Y. Awatsuji, and T. Taketomi: Resolution of a reflection hologram recorded with a slit, Appl. Opt. 39,20,3466-3472 (2000).
・T. Kubota, E. Takabayashi, T. Kashiwagi, M. Watanabe, and K. Ueda: Color reflection holography using four recording wavelengths, Proc. SPIE 4296,126-133 (2001).
・T. Shimizu, Y. Awatsuji, and T. Kubota: Simulator for computer-aided design of holograms, Opt. Eng. 40,11,2524-2531 (2001).
・T. Kubota and Y. Awatsuji: Observation of light propagation by holography with a picosecond pulsed laser, Opt. Lett.27,10,815-817 (2002). 
・T. Tanaka, Y. Awatsuji, and T. Kubota: Distortion of reconstructed image of reflection hologram recorded with a slit, Opt. Commun. 214, 99-105 (2002). 
・Y. Matsuura, Y. Awatsuji, T. Shimizu, and T. Kubota: A hologram computer-aided design tool and analyzing holographic optical elements illuminated by multiple point-sources, Optical Review 10,4,275-282 (2003). 
・Y. Awatsuji, M. Sasada, and T. Kubota: Parallel quasi-phase-shifting digital holography, Applied Physics Letters 85, 6,1069-1071 (2004).
・T. Kubota and Y. Awatsuji: Femtosecond motion picture, IEICE Electronics Express 2, (2005). [in press]
受賞
・1980年 4月 昭和54年度応用物理学会光学論文賞受賞
・1992年 5月  平成4年度日本写真学会技術賞受賞
・1999年 6月  3次元画像コンファレンス ’98優秀論文賞受賞
・2002年 6月 第7回サイエンス展示・アイディア実験ショー奨励賞(科学技術振興事業団)
個展
・1991年 9月  カラーホログラフィの世界 -最先端の映像技術-,ミノルタコミュニケーションプラザ(大阪)
・2004年 8月 ホログラフィー ―光が創る科学と芸術の不思議な世界―,千葉県立現代産業科学館

     

受賞者プロフィール
的場修 
神戸大学工学部情報知能工学科
略歴
 1991年3月 大阪大学工学部応用物理学科卒業
 1996年3月 大阪大学大学院工学研究科博士後期課程応用物理学専攻修了、博士(工学)取得
 1996年4月 東京大学生産技術研究所 助手
 2002年9月から現在 神戸大学工学部情報知能工学科 助教授
抱負
名誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。ホログラフィーの応用として、ホログラフィックメモリ、3次元ディスプレイの研究を精力的に進めています。ホログラフィーに基づく情報システムの研究・開発に貢献できるよう、この受賞を契機により一層励みたいと思います。
主な業績
 「学術論文誌」
1. O. Matoba and B. Javidi, "Secure Holographic Memory by Double-Random Polarization Encryption," Appl. Opt., 43, pp. 2915-2919(2004).
2. O. Matoba and B. Javidi, "Secure three-dimensional data transmission and display," Appl. Opt., 43, pp.2285-2291(2004).
3. O. Matoba, T.J. Naughton, Y. Frauel, N. Bertaux, and B. Javidi, “Real-time three-dimensional object reconstruction by use of a phase-encoded digital hologram,” Appl. Opt., 41, pp.6187-6192(2002).
4. O. Matoba and B. Javidi,  “Optical retrieval of encrypted digital hologram for secure real-time display,” Opt. Lett., 27, pp.321-323(2002).
5. X. Tan, O. Matoba, T. Shimura, and K. Kuroda, "Improvement in holographic storage capacity by use of double random phase encryption," Appl. Opt. 40, pp.4721-4727(2001).
6. X. Tan, O. Matoba, Y. Okada-Shudo, M. Ide, T. Shimura, and K. Kuroda, "Secure optical memory system with polarization encryption," Appl. Opt. 40, pp.2310-2315(2001).
7. X. Tan, O. Matoba, T. Shimura, and K. Kuroda,"Secure optical storage that uses fully phase encryption," Appl. Opt. 39, pp.6689-6694(2000).
8. O. Matoba and B. Javidi,"Encrypted optical storage with angular multiplexing," Appl. Opt., 38, 7pp.288-7293(1999).
9. O. Matoba and B. Javidi, "Encrypted optical storage with wavelength-key and random phase codes," Appl. Opt., 38, pp.6785-6790(1999).
10. O. Matoba and B. Javidi, "Encrypted optical memory system using three-dimensional keys in the Fresnel domain," Opt. Lett., 24, pp.762-764(1999).
著書
1. E. Tajahuerce, O. Matoba, and B. Javidi, “Image security by digital holography,” Chapter 3, pp. 45-67, Smart Imaging Systems, B. Javidi ed., (SPIE Press, Washington, USA, 2001).
2. O. Matoba and B. Javidim, “Interface between ultrafast optics and optical storage for ultrafast data communication and processing,” Chapter 11, pp. 233-251, Smart Imaging Systems, B. Javidi ed., (SPIE Press, Washington, USA, 2001).
受賞
平成8年度日本光学会奨励賞

     

受賞者プロフィール
小松彩  
京都工芸繊維大学工芸学部電子情報工学科
略歴
2003年3月 京都工芸繊維大学 工芸学部 電子情報工学科卒業
2005年3月 京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 電子情報工学専攻
2005年4月 オムロン株式会社 入社
抱負
このような素晴らしい賞により研究が評価されたことを大変嬉しく思っております。この受賞は、久保田先生を始めとし研究室の皆さんのおかげだと思い、感謝の気持ちでいっぱいです。今後は、光を用いたセンサの研究開発という業務の中に、この研究やこの研究の基礎となった光学の知識を生かしていきたいと考えています。
主な業績
原著論文
・A. Komatsu, Y. Awatsuji, and T. Kubota, “Dependence of reconstructed image characteristics on observation condition in light-in-flight holography,” J. Opt. Soc. Am. A 22 (2005). to be published.
国際会議
・A. Komatsu, Y. Awatsuji, and T. Kubota, "Dependence of reconstructed image characteristics on observation condition in light-in-flight holography," 2004 ICO International Conference Optics and Photonics in Technology Frontier, pp.95-96, Chiba, July 2004.
国内学会/研究会
・小松 彩, 粟辻安浩, 久保田敏弘, "スリットを用いて記録するエッジリットリップマンホログラムの解像力評価," 日本光学会 情報フォトニクス研究グループ ノベルフォトニックシステムワーキンググループ 2002年度卒業研究・修士論文講演会, p.12, 和泉市, 2003年3月.
・小松 彩, 粟辻安浩, 久保田敏弘, "スリットを用いて記録するエッジリットリップマンホログラムの再生像特性の解析," 2003年度 日本写真学会秋季大会・研究発表会 講演要旨, pp.62-63, 京都市, 2003年11月.
・小松 彩, 粟辻安浩, 久保田敏弘, "超短パルスレーザを用いたホログラフィによる光伝播の観察II -再生像特性の観察条件依存性-," Optics Japan 2003 講演予稿集, pp.286-287, 浜松市, 2003年12月
・小松 彩, 粟辻安浩, 久保田敏弘, "超短パルスレーザを用いたホログラフィによる光伝播の観察III -再生像の解像力評価-," Optics Japan 2004 講演予稿集, pp.524-525, 吹田市, 2004年11月
・小松 彩, 粟辻安浩, 久保田敏弘, "超短パルスレーザを用いたホログラフィによる光伝播の観察," 2003年度第3回ホログラフィック・ディスプレイ研究会/応用光学懇談会第126回講演会,京都市, 2004年11月(invited); HODIC Circular, 24, 4, pp.2-9 (2004).

    

受賞者プロフィール
黒柳 陽子 
有限会社クネップ 取締役社長
略歴
1988年‐ 企画・デザイン・オブジェ制作をフリーで受託
1993年‐1994年 (株)リクルート フロム・エーにて広告コピー・デザイン担当
1995年 (株)ウィズにて「たまごっち」(携帯用育成シミュレーションゲーム)の企画・開発・デザインを担当
1997年12月 (有)クネップ設立 取締役社長就任
1999年 NECホームエレクトロニクス(株)との共同著作によりドリームキャスト用ソフト「戦国TURB」をリリース。企画・開発・デザインを担当
2000年4月‐ ソフトバンク パブリッシング(株)「ドリームキャストマガジン(現在のドリマガ)」に連載開始(2004年まで)
2000年5月‐ (株)集英社「週刊プレイボーイ」に連載開始
2001年‐ (株)ソニー・クリエイティブプロダクツより「ハーフパンダ」等のキャラクターライセンス商品をリリース
2002年8月 CHC Original Expeculiar Holographic Stereogramを制作
2004年9月- The Center for the Holographic Arts(NY)におけるアーティストインレジデンスプログラム(Cycle VI awards)にて作品制作
2005年1月 SPIE Photonics West 2005でホログラム作品を展示
2005年3月 平成16年度第4回ホログラフィック・ディスプレイ研究会にて作品展示と講演
抱負
大変素晴らしい賞をありがとうございます。今後は今まで以上にドラマチックな視点から多様なアプローチでホログラム制作に取り組んでいきたいと考えております。
著書
1992年12月 PC-9801版Bio_100%フリーゲームコレクション,共著
1995年4月 Bio_100%フリーゲームコレクションPart2,共著
1999年7月 KG戦国TURぶはあ, ソフトバンクパブリッシング